Yamagata1 Archives(やまがたわん あーかいぶす)は、地域社会の貴重な記憶や伝統技術をデジタル化して保存・公開するプロジェクトです。この活動は、個人の人生体験を集めた聞き書きオーラルヒストリーや、旧時代の絵はがき、出版物などをふくむ郷土資料のアーカイブ、さらに講演会や伝統技術の映像・音声の収集といった多様な側面を持っています。また、AI技術を活用した音声解説の導入を通じて、地域文化の保存と継承、個人と地域のアイデンティティ再構築の重要性にも取り組んでいます。これらの取り組みは、単なる記録の保存にとどまらず、地域の多様な文化遺産や住民の記憶を次の世代へと橋渡しする重要な役割を果たしています。
オーラルヒストリー・アーカイブ

「オーラルヒストリー」は「聞き書き」のことで、話し手の方にインタビューを行い、そのお話を記録にまとめて残すものです。
誰にでもその方だけの人生の足跡があり、ことに経験や知識の豊かな高齢者の方は「一人一人が一つの図書館のようなもの」といわれます。
たとえば「戦争体験」や「地域に残る歴史や文化」など、次の世代に伝えてほしい貴重な体験をお持ちの方が大勢いらっしゃいます。
しかし、残念ながらそうした体験は語られることなく、記録として残らないままになってしまうことが少なくありません。
そこで NPO法人Yamagata1では、『オーラルヒストリー・アーカイブ・プロジェクト』として、いままで記録されていない体験談などを収録し、後世に残す活動に取り組んでいます。
Q&A
Yamagata1 Archivesの活動内容はどのようなものか?
- Yamagata1 Archives(ヤマガタワンアーカイブス)は、東根市(ひがしねし)のNPO法人Yamagata1(ヤマガタワン)が運営し、地域の貴重な記憶や技術をデジタルで記録・公開しています。活動内容は非常に幅広く、個人の人生体験を記録した聞き書きオーラルヒストリー、昔の絵はがきや出版物などの郷土資料、講演会、伝統技術の映像・音声アーカイブなどが含まれます。さらに、戦争体験や昭和の教育史に関する大学での特別講義の映像など、多角的な記録も行われています。これらの活動を通じて、山形の文化を未来に残す「未来への橋渡し」としての役割を担っています。
聞き書きオーラルヒストリーとは普通のインタビューとどう違うのか?
- 聞き書きは、話し手の言葉をできる限りそのまま、話し方や間の取り方も含めて記録する手法です。単なる内容の要約ではなく、その人自身の語り口や息遣い、話題の空気感まで伝えることを重視しています。これにより、個人の実感や歴史の生の声がより深く伝わり、リアリティや迫力のある記録となります。聞き書きは、単なるインタビューとは異なり、話し手の個性や体験の実感をそのまま未来に伝える価値あるアプローチです。
具体的な記録例やその意義は?
- 具体的な記録例としては、戦後から令和まで山形の花湯会で生きてきた芸妓さんの話や、代々続く紋章上映師(花紋を描く職人)の技と歴史に関するインタビュー、作業工程の映像などがあります。これらの記録は、単に技術や体験を記録するだけでなく、それらがどのように受け継がれ、社会の中でどんな意味を持ってきたかという文化的背景まで明らかにします。個人の物語が地域のより大きな歴史とつながり、地域文化の多様な側面を浮かび上がらせる意義があります。
AIの活用事例とその意義は?
- オーラルヒストリーにAI音声解説を付与した記録も公開されています。AIの活用は、アクセシビリティの向上や新しい解釈の可能性を探る試みであり、アーカイブ自体が進化し続けている証拠といえます。AIによる音声解説は、より多くの人が記録にアクセスしやすくなるだけでなく、今後のアーカイブ活動の新たな方向性を示しています。
アーカイブスの活動が地域文化に与える影響や意義は?
- 個々の記録が集まることで、多様な視点から見た「生きた山形の肖像」が浮かび上がります。戦争体験の聞き書きや昭和の教育史に関する大学での特別講義の映像など、多角的な記録が地域主義を多面的に集めています。個々の記録は点かもしれませんが、それが集まることで線となり面となり、地域のアイデンティティを未来に向けて再構築する作業ともいえます。山形ワンアーカイブスは、地域の宝箱として、文化遺産や人々の記憶を次世代へとつなぐ重要な役割を果たしています。
地域の記録に触れることの意義や個人への影響は?
- 地域の記録に触れることは、自分自身のルーツや今住んでいる場所の歴史を見つめ直すきっかけになります。身の回りの記録を未来に伝えることに気づくこと自体が、地域や自分自身への理解を深める初めの一歩となります。こうした活動は、個人の物語が地域社会の歴史と結びつき、地域への愛着やアイデンティティの再発見につながる可能性があります。